酸回収

鋼板を造るプロセスでは、自動車、電機、ブリキ缶等に用いられる鉄を冷間加工する前に、表面洗浄を目的として塩酸又は硫酸を用いてスケールと呼ばれる酸化鉄皮膜を溶解除去します。
鋼板を酸洗した後の廃酸は、以前には中和処理して埋め立て処分等をしていましたが、環境に与える負荷低減のためと、廃酸中に含まれる、未使用酸や鉄分など有用資源を再利用するために、現在では酸回収をすることが主流になっています。
塩酸の回収方法は右の写真に見られる円筒縦型の焙焼炉の中に上部から、霧状にした廃酸を供給し、それを炉の円周方向から吹き込んだ熱風により焙焼する噴霧焙焼法が採用されています。廃塩酸は熱風中で酸化第二鉄と塩化水素に熱分解され、その後の工程でガス中の塩化水素ガスを水に吸収させて18%濃度の回収塩酸を得ます。
ステンレス鋼の酸洗には、硫酸が使用されますが、廃硫酸の回収には、冷却晶析法と拡散透析法を組み合わせた独自のプロセスを用い、硫酸鉄、硫酸クロム等の金属成分を酸から分離して硫酸を回収し、再利用しています。
これらのプロセスから得られる、酸化鉄や硫酸鉄は電子工業で用いられる磁性材料の原料として有効利用されています。酸回収は環境保護と資源のリサイクルに貢献しています。
酸化鉄
![]() |
| ソフトフェライトの一例 |
![]() |
| ハードフェライトの一例 |
昔から、酸化鉄は顔料の原料として知られていましたが、現在では電子部品の磁性材料用として一躍、注目を浴びる素材となりました。つまり、フェライトの主原料です。フェライトにはソフトフェライトとハードフェライトの二種があり、ソフトフェライトは電磁石用に、ハードフェライトは永久磁石用に使われます。現在の私たちの日常生活は、テレビ・通信機など電子機器類から各種の磁気テープ、自動車の電動モーター部品にいたるまで、フェライトなしでは考えられません。
IT革命の時代の中では、電子部品の性能の向上が要求されるにともなって、今後はますます物理的・化学的特性のすぐれた酸化鉄が求められるでしょう。当社では時代の要請を見通して研究開発に取り組み、国内への対応はもちろん、海外にも渡たる広範な需要に応ずる体制を整えています。また、高品位の鉱石から粉砕・分級・磁選による酸化鉄の製造も行なっています。
硫酸鉄

硫酸酸洗廃液から回収した硫酸鉄を、さらに当社独自の晶析技術で再結晶させて、高純度の硫酸鉄を製造します。
この硫酸鉄は、磁気記録材料であるメタル鉄粉やガンマ酸化鉄、水処理薬品の原料として広く使われています。

















